15代目の日記

デリヘル嬢の写メ日記的なやつ

空からエロが降ってくる2

バブルが弾ける手前のパンパンに膨れてカウパーが出ちゃってるくらいの頃、私は山口県に生まれた。とは言っても山口県にいたのは1歳半までで、母が一度目の離婚をして、私と二つ上の姉を連れて実家のある東京に戻ったので山口で過ごした記憶は一切ない。なので当然風俗なんかで出身地の話しになった際には「あ、生まれ?東京 東京」と1年半ほどお世話になった山口をノーカンで話しをしている。

そんな恩知らずこと私だが時々想像することがある。もしも母が離婚を踏みとどまり、あのまま山口県に残っていたらどんな人生だったのだろうか、と。

山口の豊かな自然とコバルトブルーの海に囲まれ幼少期を過ごし、青年期はスポーツに打ち込み青春を謳歌。その後は実父が営んでいたという割烹料理屋の後を継ぐため板前の道へ。なんて世界線もあったのかもしれない。

板前修行を始めて数年、私(山田裕貴)の包丁さばきもすっかり板についてきた頃、幼馴染でもある彼女(佐久間由衣)の妊娠が発覚。それを聞いた板前の師でもある父(光石研)からは柳刃包丁を持って追いかけまわされるも、母(麻生祐未)と姉(水川あさみ)の説得により何とか事態は収拾。

隠し事のできない田舎町では瞬く間に話は広まって、号泣する親友(仲野太賀)とその妹(伊藤沙莉)から祝福をされ、八百屋の大将(ずん飯尾)や精肉店の主人(でんでん)、魚屋の兄ちゃん(柳楽優弥)、酒屋の娘(ファーストサマーウイカ)からは意地の張り合いによる大量の贈呈品で家が溢れかえったりなんかする。他にもスナックのママ(広末涼子)や駐在さん(中田敦彦)、高校の担任(ひろゆき)、高校時代のライバル(大谷翔平)、近所の悪ガキ(ジャック・ニコルソン)など地元を挙げて祝われ、山口の人々の愛に包まれながら地元に腰を据える。

そこから妻の出産、親友の死、地元の都市開発計画、割烹料理屋全焼、娘の結婚となんやかんやあり、天寿を全うするのである。そして、子と孫たち(有村架純/吉岡里帆/池田エライザ/浜辺美波/今田美桜/えなこ)に見守られながら最期を迎えようとする時、私は心の中でこう思うだろう…

「東京でもっとエロいことしたかったな!!!」

そんなわけで人生2周目の少年俺は、スカパーのアダルト専門チャンネルのお試し映像で自らをブラッシュアップする青年期を送っていた。

アダルトを見るようになり初めに取り掛かったのが、映像を覆い隠すように画面いっぱいに表示されている購入に関する説明を消す方法を探ることだった。

まず最初に発見したのが[000]など存在しないチャンネルを入力することでエラーメッセージが表示されて3秒間ほど購入説明が消えるという裏技、通称「エラー消し」だ。ただ3秒おきに存在しないチャンネルを入力しなきゃいけないのが手間なのとエラーメッセージも映像の邪魔をすることに変わりなかったので「エラー消し」はすぐに使わなくなった。

色んな裏技を研究し最終的に辿り着いたのが、通称「オキニ」である。スカパーのリモコンにはお気に入りのチャンネルを登録しておくとワンタッチでそのチャンネルに飛べるショートカットボタンがあった。そのボタンをいじりチャンネルを登録する一歩手前で待機していれば購入説明が消えるのを発見。これを使えば映像の約90%がはっきり見え、しかも「エラー消し」のように繰り返しボタンを入力する手間もない画期的な裏技だった。

「オキニ」の発見により私のアダルトウォッチは劇的に捗った。学校から帰宅したらすぐさまスカパーをつけ番組表を凝視、十数あるアダルト専門チャンネルを効率良く見るためにタイムスケジュールを組み、スキマ時間でヨシモトファンダンゴTVを見るというのが毎日のルーティンだった。

ひと番組につき30秒~1分のお試しタイムが設けられていて、お試しタイムを使い切っても次の放送に切り替わればまたお試しタイムが楽しめる。このお試しタイムをどこに持ってくるのかが超重要なのだ。例えば60分の番組であれば、最初の15分弱はインタビューやドラマシーンである可能性が高く、お試しタイムが復活したからといって急いで視聴に向かうと片乳首も拝めずに時間切れとなってしまうことも。かといって逆に最後の盛り上がりを期待して50分以降を狙っていくと、今月のおすすめ番組紹介のような告知映像の時間になっているリスクもあるのだ。作品のジャンルや放送時間、チャンネルの傾向などからベストなタイミングを探り、お試しタイムを最大限に活用してアダルトを楽しむことにこの頃の私は夢中だった。夢中になり過ぎたせいだったのか、学校の勉強についていけず友達のみんなとは違う特別な教室に移動して勉強させられるようになったのも丁度この頃である。

長々と説明してきたが、変な裏技の研究も、お試しタイムの駆け引きも、ハロバイやチャイマやニブゴあたりのお笑いにハマった期間も、アダルトを購入していればすべて必要のないことなのだ。そのことに少年俺が気づくのは、まだ先のお話し。続く。

AV監督になるまで、あと6500日。ぐらい。

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